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013 GOMESS & Page Hiiragi

この曲を作ったきっかけ、背景ストーリー。

楽曲制作をするに至って、なにがあったのか?

 

Page Hiiragi : 2年半前から一緒に住んでいて。その時は、ちょうど僕がメジャーから離れてラッパーからトラックメイカーに転向したタイミングで、ちょうどGOMESSともよく遊んでて。二人とも引っ越すタイミングが重なって、一緒に住み始めたんです。

そこから2年半経って、そろそろ引っ越そうかって話がでてきて。だけどお互い資金が足りなくて、せっかくだから一緒に曲を作って売って、費用の足しにしようというところから始まりました。

 

Gomess: 彼はクラブミュージックのDJだし、俺はあんまりクラブでやらないラッパーだから。

どっちかっていうと、ライブハウスとかカフェとか、お寺とかちょっと変わったとこでやることが多くて。なかなかクラブに行かないから、全然交わらなくて。

それなのに今こうしてCDを一緒に作ろうって話をしていたら、1週間後に大阪で同じイベントに出ることになってて。せっかくだしこの日から売り出そうか、みたいな感じで。

ただ制作期間が中々短くて…Pageは制作を始めたその日の夜からもうトラックを仕上げてきて、スピード感に興奮したりもしたんだけど、一方俺の方は凄い苦戦してしまって。リリックもそうなんだけど、とにかくレコーディングが思うようにいかなくて。それでそのイベントには完成が間に合わず、最近ようやくリリースの目処が立ってきた…というところで。

4月に自分の単独ライブがあったんですけど、それが終わったくらいから制作に迷いみたいなものがあって。曲を作るにも色んなアプローチの仕方があるでしょ。その中で自分は何をすべきなのか、それが曇って見え難くなっていて。

なんか上手くいかんな〜っていう感じで。

こういうのがやりたいとか、こういうのができるというのが上手く混ざらなくて。

 

暫く悩んでいたんだけど、そこにPageから想像もしてなかったような方向性のトラックがきて。しかも凄いスピードで新しいのがドンドンと。それで俺、どうしようみたいな。

そもそも自分らしいラップとは…とそんな悩み方をしていたのに自分の日常にはなかった音が突然現れたから、どういうテンションでどういうラップを乗せたらいいのかわからなくなっちゃって。

 

Page Hiiragi: 僕は純粋に自分が作りたいものというより、GOMESSにハマりそうなものを意識して曲を投げていたので、彼のラップが乗るだけですごく映えるような気はしていましたね。

 

Music Sneak: テンポや曲調はお二人で相談されて作ったのですか?

Page Hiiragi: いや、全く相談はしてなくて、僕が一方的にトラックを投げて、GOMESSから来たものを即採用って形で。せっかくやってるジャンルの違う二人で曲を作るんだから、単純にヒップホップを作るのって、結構もったいないと思うんですよ。

Gomess: うんうん。

Page Hiiragi: いい化学反応が生まれればいいな、くらいの気持ちで。GOMESSがどう球を投げ返してくれるかな、って楽しみながらやってました。ですが彼はちょっと、苦手なビートが多かったらしくだいぶ悩んでたみたいですね。

Music Sneak:(製作中は)ワクワクしましたか?

Page Hiiragi: そうっすね、僕はデモが届くたびにワクワクしたんですけど。(笑)

Gomess: 本当っすか。(笑) 俺もね、結構、ワクワクした。

トイレに行く時に、Pageの部屋の前を通るんですけど、扉から漏れてくる音が聞こえてきて、お、レコーディングの時よりアレンジが変わってる!みたいな。Ajisaiなんかも、レコーディングの時点ではもっとシンプルなデモだったんだけど、後日トイレに行こうとしたら音数増えてて。すげぇなんかチョップしてる!ヤバ!みたいな。扉の前で少し聞き入ってたよ。

Page: 基本的にお互い単独作業で音源のキャッチボールだけど、僕が作っている最中の漏れている音をGOMESSが聞いて、ワクワクしてたっていう。笑

Gomess: そうそう。でもそれもまだ途中だって解ってるし、これからどんな曲が上がってくるんだろうみたいな瞬間、楽しい。

 

 

Music Sneak: アルバムへのこだわりについて、詳しく聞かせてください。

Page Hiiragi: 今までのGOMESSにないものを引き出すためにアプローチの仕方は考えましたね。彼の引き出しを探るっていうか。

ヒップホップのアーティストって、トラックに(Produced by ○○)って書くんですよ。あれ、僕はすごく嫌で。中には違う人もいるんですが、ただトラックを提供しただけでプロデュースになってない人が意外に多いんですよね。

そういう”ただトラックを提供した”ってだけにはしたくなかったので、僕も普段作るわけじゃないですけど、トライバルなビートだったり、遅いBPMの曲だったり、Ajisaiのようにすごくシンプルだったり、GOMESSが普段乗ってないトラックを意識しましたね。

普段のGOMESSの曲が好きな人からすれば少し違和感があるかもだけど、今回はダブルネームだから言い訳も効くだろうし、GOMESSも。遊びとして、お祭り感覚でやろうよっていう意味もあったり。じゃないと、僕らみたいにやってるジャンルが違うアーティストが一緒に曲を作る意味ってないと思うので。

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Gomess: 一曲一曲本当に違うイメージだから、ああそういうことをやるのねって。曲毎にフローを変えているんですよ。声や歌詞の書き方から、一曲一曲変えている。

Ajisaiっていう曲だったら、絶妙に韻を踏まない詩を、あえてポエトリーらしくないリズムというか、等間隔の譜割でラップしていて。

歌詞っていうよりは、”詩”を意識して書いてます。読み物としての短文的なリズム。

Kids Discoは、2000年前後くらいの日本語ラップにありがちだった韻の踏み方だったり、言葉の跳ね方だったり、あとはこのフレーズ使うよね、みたいな。日本語をわざわざ英語にしちゃう感じとか。そういうのを意識して再現していて。

Merry go Roundは、逆に今っぽいかな。けど発音は硬くしてる。最近のラップってみんなふにゃふにゃ発音するでしょ。そうなると軟弱な感じがして嫌だったから、結構拘りました。日本語特有の硬い音が好きなので、大事にしたくて。 

日本語ラップって昔は皆硬い発音だったんですよ。でも最近どんどん柔らかくなって。なぜかって多分、英語が柔らかいからだと思うんですよ。英語に寄っていったんですよ。今流行ってるサウンドに硬い日本語は相性が悪かったりとか、そういうのも分かるけど、結局、英語の真似がほとんど。昔から日本語ラップってアメリカのヒップホップの真似だって言われてきて。散々言われてきたけど、俺はもう違うと言いたくて。

もちろんルーツは他国にあるんだろうし、当初の事は俺もよく知らないんだけどさ。けど他国とは違う文化の育ち方をしてるから。もうアメリカのラップと比べること自体がナンセンスだし、サウンドの面で語ればまた違うのかもしれないけど、ヒップホップの文化性と、ラップという手法に関しては、もう日本特有のスタイルがあるから。

だから俺はジャパニーズヒップホップじゃなくて、日本語ラップって呼んでるんですよ。これを嫌う人もいるんだけど、俺は良い意味で捉えていて。もう日本語ラップは違う意義を持っているから。アメリカのヒップホップと比べる必要はないんだって。だから、そういう意味で、多くの日本のラッパーはまだアメリカのヒップホップになぞってやっているんだけど、日本のスタイルだったり、日本語の美を崩さないようにしたいですね、俺は。ていうのが1曲目のIntro。

 

Page Hiiragi: 僕はあんまり言葉って気にしてなくて。歌詞とかも気にしてないし。タイトルとかも気にしてないし。なんていうんですかね。日本のラップって楽器になってないなって。

僕はトラックメーカーで、歌は楽器の一つとして捉えているのですが、楽器としての鳴り方をしていないとサウンドの邪魔にしかならないんですよ。例えば、歌が楽器になっているアーティスト、有名な人だったら椎名林檎だったり、やくしまるえつこだったり。

日本のラッパーって上手い人多いけど、音として耳に引っかかる言葉のチョイスをしている人が多くて勿体無いなって正直思うな。

Gomess: それは日本のラッパーが母音ばかり気にして韻を踏むからだと思うんだよね。子音が大事なのに。母音と子音って発音する際の順序があって、大体の場合、母音より先に子音が発音されてるんですよ。だから、リズムに大事なのは子音。もちろん母音も発音される音だから大切なんだけどさ、母音を合わせるイコール韻を踏むって解釈は音楽的ではないなって。

Page Hiiragi: そういうことなのかな?(笑) あくまで楽器として歌詞をフロウできれば、もっといいラッパーが増えるんじゃないかなって思いますね。僕も元々はヒップホップ上がりなので、日本のヒップホップのレベルが上がるのは純粋に嬉しいですし。

 

Music Sneak: GOMESSさんの持つ“絶妙なリズム感”って、日本人が弱みとしている部分のようにも感じますが。

 

Gomess: いや〜俺もよくわかんないですけど。

単純に、アカペラでラップできるラッパーが本当に居ない。偶に見かけるんだけど、大体が頭の中にメトロノームを打ちながらラップしてるのかなって。みんなずっと同じようなリズムだから。それは、もったいないなって思うな。ビートがないってことは、白紙の楽譜みたいな状態なんだからさ、拍子もクソもないんだから、もう超フリースタイルで暴れられるはずなのに。なぜ頭の中で4分の4のメトロノームの音を流し続けるのか、不思議でしょうがない。

そういうところをみると、リズム感が乏しいなって思いますね。

…とか偉そうに語ってますけど、俺もPageのサウンドの邪魔になってないか不安になってきたよ。(笑)

Page Hiiragi: まあそこはいいんじゃない (笑)


ラッパーGOMESSと、Lolica Tonicaとしての活動や様々なアーティストへのトラック提供で知られるPage Hiiragiによるコラボアルバム「DIY」が8月19日(土)に配信限定でゲリラリリースされた。

この作品は2人の2年間に及ぶ共同生活の最後の思い出として、生活を共にした部屋で自主制作された。

Page Hiiragiによる様々なトラックアプローチに対し、GOMESSも曲毎に変幻自在なラップで応じるなど、それぞれが普段とは異なった、コラボならではの作品となっている。

iTunes等、各配信サイトで是非チェックして欲しい。

iTunes


もっとMusic Sneakしたい方へ  

▶︎ GOMESS × 弦楽     

▶︎ Lolica Tonica 


Filmed by Junichi Yano