Artists

011 GOMESS

史上初

フリースタイルラップ × 弦楽

 

GOMESS

×

Strings

1st Violin: Natsumi Funano

2nd Violin: Amano Tetsu

Viola: Maho Hasuike

Cello: Taro Akashi

 

自閉症と共に生きるラッパー、GOMESS。第二回高校生ラップ選手権で準優勝して以来、アーティストとして様々な音楽活動の幅を広げている彼が、初めての弦楽とのコラボレーションに挑戦。即興で奏でるラップの一字一句には、魂が宿っている。

GOMESSに訊く音楽観のあれこれ 〜前編〜

#GOMESSマインド #ラップ #原体験

Q: 今回弦楽とコラボレーションしたいと思ったのはなぜですか?

GOMESS: 普段やっている音楽はラップの性質上、リズムが強調されたビートミュージックが主なんです。

反対に、弦楽は伸びる音が多くて細かいリズムがあまり無いので、そんな音楽にラップを乗せたらどうなるのか、やってみたかった。

 

Q: 今回弦楽との初コラボレーション、いかがでしたか。

GOMESS: 嬉しかったです、純粋に。

でも、雰囲気が良過ぎたのかあまりミュージシャンマインドになれなくて、役者っぽいことをやってしまったのかなって。

フリースタイルをする時、マインドによって表現が変わるんですよ。役者かミュージシャンかみたいな感じ。

今回本来の目的(リズムを強調したラップ)がうまくできなかったから、個人的には反省もありつつ、でも逆にまた一つ新境地を開けたのかなって。

反省と、自信の両方がありますね。

 “音楽”を求めている人からしたら、あまり受け入れられないのかな~とか、嫌だろうな~とか。求められていないことをやってしまった感じはしてます。

 

Q: ミュージシャンマインドと役者マインドとはどういう違いですか。

GOMESS: リズムをどこまで強調してつけるかどうかかな。音楽にどこまで寄り添うかどうか。

ほぼほぼ今回は(リズムを)無視したので、こんなのは音楽じゃないって言われたら、まあそう思うよなって感じ。

もっとメロディを意識してラップをしている時の方がミュージシャンとしては正解なのかなって。

でもこれも俺の音楽の一部分だし、これはこれで自信がありますよ。表現方法は色々あって良いと思います。

 

Q: GOMESSさんにとって役者マインドって、どういうものですか。

GOMESS: 役者マインドでやっている時でも、自分の中にはリズムがあって、その上でパフォーマンスをするんです。

ただそのリズムを音楽の内側におくのか、外側におくのかという違いがあると思います。ミュージシャンは音楽の内側にいて、役者は音楽の外側にいる。より人間味の濃い表現ができるのは役者マインドの時だけど、音楽性を高めるものではないかもしれない。

これはまだまだ修行が必要だなって感じてます。修行します。

Q: 撮影現場で、今回のラップは”ポエトリーリーディングに近い”とおっしゃってましたが、好きなんですか。

GOMESS: いや、嫌いですね、どっちかっていうと。

昔は、こういう文化があるんだ、とかアーティストがいるんだというレベルでしか聞いてなかったです。

 

Q: 今後、さらにポエトリーリーディングをやっていきたいと思いますか。

GOMESS: やっていきたいですね。ただ、(他の人と)やっていることが違うので。僕のそれはポエトリーリーディングなのかどうか。不可思議/Wonderboyはわりかし近いかなって感じますが。

まだ、なんていうかしっかりとした定義付けや前提がなっていない文化なので。

今現状で最も有名なポエトリーミュージシャンは不可思議/Wonderboyだと思うんですけど、彼がすでに亡くなっている以上、彼が前提を定義付けすることができない。

これ以上に発展がないのに、彼にポエトリーリーディング界を任せることはできなくて。

なので僕が、これからちゃんと主軸というかレールを作っていきたいという想いがあります。

もっと発展性のある文化だと思っているから。

 

Q: 今回の曲名が”赤い空”なのはなぜですか。

GOMESS: 即興だったから自分でもよく分からないけど、いつも考えてることなので自然と出てきたのかな。空は赤いって思ってたのに、みんなが青っていうから青い空に塗り替えられてきちゃったなっていう。

これは世の全てのことに共通してそうだなと思っていて。

常識にならないといけないんですよね、正解は一つだよって、まあ日本的にはね。僕は反抗していたいですね。二つ目いやむしろ三つ目の正解を出していたい。

 

Q: 幼い頃から、”言葉”をどう捉えていたんですか。

GOMESS: 僕は生まれた時から発達障害を持っていて、活字が読めなかったんです。教科書が読めないので、勉強も一人ではできなかった。

最近は”発達障害”って言っても理解されやすくなってきましたけど、

小学生の頃ってまだ障害に対しての世間の認知度が低くて、教科書が読めないのも勉強したくないからだろとか、普通に言われてました。

国語の授業で音読とかできない時に、文章をあいうえおの音として読むことはできても

言葉の意味を理解できないので、質問に答えられないでいると

ふざけていると思われて、怒られて廊下に立たされたりしました。

くっそムカついてました。

 

Q: 五感で一番信用できる情報が入るのはどれだと思いますか。

GOMESS:

信用しているのは、”思想”の中かな。

情報って、そもそも確かなものじゃないから、

発信側と受信側の知識量や思想のズレで形はどんな風にも変わってしまう。

だから受信側となる時に送られてくる情報を噛み砕いて、ちゃんと自分の中で(本質的な情報を)読めるかどうか、

自分の脳みその問題だなと思いますね。

なので、入ってくる情報は基本的に信用していないです。自分に自信がないのかもしれないですね。

gomess_001.jpg

Q: ラップバトルはどういう感情でやっていましたか。

GOMESS: 東京にきてからしばらくはよくやってましたが、大体終わった後すっごいムカついてました。

次の試合とかヘラヘラ見てるやつが理解できなかったですね。

終わったあと壁とか殴って帰ったこともあります。とにかくめちゃくちゃ怒ってました。

今のラッパーはスポーツ感覚で人の悪口を言うから。おかしいですよね。

それで「なんで悪口言ったのか教えてみろよ、俺のこと嫌いなんだったらはっきり言えよ。」

って楽屋でバトル相手を問い詰めたことがあって、

そしたら、「いやいや、パフォーマンスだから。」って言われて、

ふざけんなよって思いました。(苦笑)

「お前障害者、ゴミ、飛び降りろ」なんて言われたら、

いやお前本気で言ってんのか?って、普通に怒りますよね。

彼らは韻を踏むために悪口を言う。

俺には理解できないですね。

もちろんそうじゃない人もいて、MCバトルって本来もっとスキルフルなものだと思うので。言葉の勝負ってのも誤解だと思うし。バトル相手の粗を探すのに必死で、ボキャブラリーはあるのにラップが下手なラッパーが多いのは残念に思っています。ラップのバトルなのにねって。もしまたバトルをすることがあるなら、悪口大会じゃなくてラップのスキルで勝負したいです。

Q: 今までどういう音楽にもっとも影響を受けてきたんですか。

GOMESS: 一番はヒップホップだと思うんですけど、映画とかゲームのサウンドトラックからの影響は強いと思います。映画だと、ハリーポッターのサントラが好きですね。イメージが溢れてきて、無限にラップできます(笑)

アニメだと、ハンターハンターとかもですね。クラピカのテーマをサンプリングしてビートを打って、ラップとかしてました。

いつか映画音楽としてのラップを実現したいです。

ラップを始めた中学生の時から、サントラでよくラップをしていたから、映画音楽は一つの目標というか、夢ですね。

 

Q: 音楽を作り始めたのはいつからですか。

GOMESS: 小学5年生の秋ですね。

DTMでピアノ、ベース、ドラムの音色で作曲したのが最初です。1分くらいの曲ですかね、ポップスを作ったつもりだったと思います。

音楽のことを何にもわかってないやつが作る曲って、驚異的なパワーがあるんですよ。

すっごい良くて、でも何がどうなってるのか意味がわからないんですよね笑

当時、五線譜に音符を打っていくフリーソフトがあって、それで音楽を作れたんです。多分、音楽制作用じゃなくて、楽譜の作成ソフトで、音は再生して確認できるくらいのものだったので音質とかかなりショボいんですけど。

その時は音楽のルールが全くわからなくて、ピアノとか楽器も弾けないし、音楽の授業もまともに受けたことがなかったので、どうしようと思って。

でもなんかやってみたくて。とりあえずデタラメに音符を置くところから始めて。

自分の中で、パズルのような感覚で音符を理解して、作ってました。難しい理論は何一つ知らずに、でも今聴くとなんか良いんですよね。ピュアな感じで。

 

Q: 一曲の制作時間はどれくらいだったのですか。

GOMESS: 基本的に2〜3時間くらいですね。どれも1分〜2分くらいの短い曲だったので。

インストゥルメンタルだったけど、メインメロディがハッキリとある楽曲が多かったです。

気が向いたときにやってたので、一年間で二十曲くらいかな。実は本当のGOMESSのファーストアルバムは、13才の時に作ったインストゥルメンタル集なんですよ。その頃からラップは聴いてたけど、まさか自分がラッパーになるなんて考えてもみなかった。

Q: ラップは、いつから聞き始めたのですか。

GOMESS: 小学生のときですね。それも確かDTMを始めた秋で、

そのときが”音楽”というものに本当に興味持ち始めた頃ですね。

僕、小五から学校に行かなくなって。夏はまだ、ゲームをして暇をつぶしてたんだけど、

多分秋に違うことをしたくなったんですかね・・・

 

 

続きは後編へ

To Be Continued.. 

 

◼︎GOMESS (Twitter)

1994年生まれ、静岡出身。第2回高校生ラップ選手権準優勝。
自閉症と共に生きるラッパーとして注目を集め、自身の生き様を歌った楽曲「人間失格」「LIFE」は彼にしかできない表現として各所で評価される。NHKEテレでは「ハートネットTV :ブレイクスルー File.21」で特集され、ラップに向き合う姿勢、リアルな日常が切り取られて視聴者に衝撃を与えた。

また、中原中也の詩「盲目の秋」を朗読カバー、中原中也記念館で楽曲展示されるなど、スポークンワードの才能も発揮する。
2015年、民謡を唄う朝倉さやとのコラボ楽曲「RiverBoatSong」を収録したのアルバム「River Boat
Song-FutureTrax-」が第57回日本レコード大賞企画賞を受賞するなど、ジャンルを超えた数多くの表現者との交流/共演を多くこなし、GOMESSは新しいカルチャーとして確立し始めている。

 

GOMESS YOUTUBE https://www.youtube.com/channel/UCkQ-GMcjKufNdL2viAEbzrQ?app=desktop


Video & Photo by Junichi Yano